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| イタリアでの出産 - 9ヶ月 - | ||
2006年12月8日、ミラノのMacedonia Melloni病院にて22時43分、3480グラムというビッグな男の子が誕生しました。
妊娠中、日本からとりよせた出産/育児についての某有名雑誌を熟読した私ですが、
いまだに慣れないことも多いミラノで出産するということは、いろいろあったものの結果的にはよかったのではないかと今は思います。
出産までの9ヶ月は、長いようであっという間だった気がします。 念願のおめでた 妊娠が発覚したのは同年4月初旬、検査薬の結果がポジティブ。 数日後Melloniの婦人科の予約がとってあったので、そこで先生に事情を説明しエコーをとってみると、小さな豆粒のようなものが写り 先生から「おめでとう」と妊娠を告げられました。 アントは予想外の展開に喜びいっぱいで、エコーの写真を会社へ持っていってみんなに報告するんだと意気込んでいました。 ほんとに、期待していないときにかぎって妊娠するものです。 このエコ−はとりあえず妊娠を確認するだけだったので、あらためて翌々週に詳しく診てみましょうということになりました。 が、Melloniでのエコー検査の予約はすでに1ヶ月ぐらい先までいっぱいだったため、系列の他のクリニックを紹介され、そこへ行くことになりました。 これが実質的には産科での最初のエコーということになります。 この最初のエコーで出産予定日が算出され、単純計算では12月1日だった予定日が7日に変更されました。おぉ、12月7日、サンタンブロージョ! 定期検診 産科の検診は毎月1度あり、そのつど次回の予約をするということに。 (日本では臨月ごろから検診が週に1度(?)になるそうですが、ここでは最後まで月に1度のペースのままでした) また、血液検査を毎回検診の1週間ぐらい前にすることになりました。 Melloniは公立の病院で、産婦人科としてはミラノでは有名です。救急病院でもあり、医療設備も十分整っているので万が一のケースにも対処できます。 医師の評判もいい病院です。 ミラノでお産というと、このMacedonia MelloniとMangia Galliという病院がよく選ばれます。 私は他の科でMelloniの優秀な先生を知人に紹介され診てもらったことがある経緯から、お産も同じくMelloniですることにしました。 Melloniは入り口を入ってすぐに予約/会計の窓口があり、番号札をとって順番をまつことになるのですが、これがいつも激混み。 イタリアではお産のための診察/検査は基本的には無料です。 無料なんですが、会計の処理上、結局会計窓口に行かなくてはなりません。 基本的には会計は診察の前にすませるため、その待ち時間を逆算して、診察予約時間の1時間ぐらい前に病院に到着しなければなりません。 が、予約時間に診察室にたどりついても、それからさらに1時間以上待たされることもありました。なんのための予約だか。 産科の検診は、最後の2回以外は毎回違う先生でした。公立の大きな病院なので、医師も当番制になっています。 そのため、検診のたびに違う医師に診てもらうことが普通です。 8回の検診のうち7回が女医さんでしたが、男性の医師はとてもやる気のない医師で、最低限の確認事項を聞くだけで内診もせず、 診察の途中で携帯をもって出ていってしまうような適当な印象の医師でした。 が、他の6人の女医さんはタイプはそれぞれ違うものの、どの先生もしっかりしていて信頼できました。 とくに最後の2回を診てもらった先生は、こちらの話を聞き流すこともなく、とても感じのよい先生でした。 この先生の診察のときは、予約時間から2時間近く待たされたので、診察室に入ったときにアントがつい愚痴を言ってしまいました。 が、病院側がかなり無理のある予約の組み方をしているため、 産科の検診としてきちんと一人一人患者に接していると、とてもとても時間通りにはできない、ということなのです。 逆にいうと時間どおりにこなしている医師は、本当に十分に診察をしているのか疑問ともいえます。 妊娠は病気ではない 定期検診での先生のコメントはいつも「順調です」で、ちょっと気がかりなことを相談してもいつも「普通、そういうもの」と言われるだけでした。 たとえば「つわりが辛い」「腰が痛い」「足がむくむ」「お腹が張る」「夜、蹴られて眠れない」など。 どれも「どうしても耐えられない?」と聞かれ、そう言われるとまぁ、我慢できる範囲かな・・・と思ってしまい、 結局それっきり。たしかに妊娠は病気ではないので、多少の問題があってあたりまえ。でも、日本の医者だったら少し話をきいてアドバイスをもらえそうですよね。 一方で、医師から厳しくチェックされたのが食事について。 私の場合、トキソプラズマのために生肉、生魚は一切禁止。肉や魚は十分に火が通ったもののみ。ハムもだめ。さらに野菜はbicarbonato(重曹)でよく洗うこと。ガーデニングや動物との接触も要注意。 これだけでも食べるものがかなり制限されてしまいますが、追い打ちをかけて私の食欲をノックアウトしたのがダイエットでした。 9月の検診、それまで毎月少しずつしか増えていなかった体重が、なんと前月と比べてなんと4キロも増えてしまったのです!! いや、私が思うに看護婦さんがちゃんと計ってなかったというのもあると思うんですが、でもやっぱり増え過ぎは増え過ぎ。 そういうわけで、1日に1600kcalの制限です。うぅ、キビシー。 体重計も買ってきて、アントから毎日食べ物チェックが入るようになりました。 羊水検査 イタリアでは35歳以上の妊婦は羊水検査を無料で受けることができます。 私の場合はギリギリ無料の範囲には入れなかったので、受けることになると10万円ぐらいかかります。 この検査についてはアントといろいろ討論しました。 羊水検査はお腹に針を刺して子宮の中の羊水を抜き取り、それを検査して赤ちゃんに染色体異常がある可能性を調べるものです。 高齢出産ではその可能性が比較的高いということから、上記のように年齢によって受けやすくなっているわけです。 この検査はメリットもデメリットもあります。が、私にはメリットといえるものが見当たりませんでした。 一般的に、羊水検査によって赤ちゃんに染色体異常があるかどうかがわかると考えられやすいのですが、ちょっと待ってください。 「異常があるかどうか」ではなく、「異常のある可能性」を調べるものであって、誰にも「赤ちゃんに異常があります」なんて断言できないのです。 もし検査の結果が50%だったら?そんな微妙な結果をどう受け止めればいいのでしょう。 もし80%と言われたら?異常がある可能性が高いから、赤ちゃんをあきらめるべきなのでしょうか。残りの20%の可能性は? もし30%と言われたら?確率が低いから安心?でもゼロではないのですよ。 この検査を受けるにあたって、Mangia Galliという病院で説明会がありました。 開始時間に1時間も遅れて到着した医師は、「中絶をする覚悟のない人はこの検査は受けるべきではない」と言いました。 ある人が「異常があっても中絶するとは限らない。生まれてくるまでの間に心の準備ができる」と言いましたが、どうでしょう。 異常の確率が高いという検査結果に直面したときから出産までの長い月日を、不安に負けず、変わらず赤ちゃんの誕生を待ち望む覚悟が、私にはあるだろうか。 また、待ちわびてやっと授かった赤ちゃんを、断言のできない「確率」という結果だけであきらめることができるのだろうか。 私だったら、たとえば結果が95%だったとしたら、中絶するのか、5%に望みをかけて出産するのか、悩むに違いない。きっと、苦しむ。 いや、もし万が一100%と言われたとしても、赤ちゃんをあきらめる勇気は、きっと私にはない。 きれいごとだと言われるかもしれないけれど、私は染色体異常のある人がみんな不幸せだとは思わない。 障害者でも、幸せになる権利はあるし、強く生きている人はたくさんいる。 私の知っている人で、不幸な事故で障害者となってしまった人がいる。けれど、運命を受け入れて前向きに生きている。 そういう人たちの存在を否定することは私にはできない。 検査を受けて結果に悩むぐらいなら、何も考えず子供が生まれてくるのを待てばいい。 さらに羊水をとるための針が原因で流産する可能性も、わずかながらある。ゼロではない。 私には、この検査を受ける必要はない、というか、受けたくないと思ってしまいました。 お金がかかる検査でも、それだけの意義があれば受けるべきだと思いますが、私は無料でも受けたくないな。 アントはわけあって「障害者」という問題に敏感なので、当初はこの羊水検査を受けるべきだと言っていましたが、 この説明会のあと私の意見を主張すると、あっさりと「受けるのはやめよう」ということになりました。 ちなみに、血清マーカーテストという血液検査でも染色体異常の検査ができます。 マーカーテストで確率が高い人は羊水検査を受けることをすすめられます。 でも、上にずらずら書いた理由により、私はこれも却下しました。 赤ちゃんの性別 日本ではどうかよくわかりませんが、ここイタリアでは赤ちゃんの性別を生まれる前に知るのはごくあたりまえのことです。 性別がわかるのは、20週目ごろに受ける2度目のエコー検査です。私は7月の中旬に受けました。 エコーの予約をした時点でアントの家族はもちろん同僚にも「○日に性別がわかるんだ。男の子だといいなぁ」と。 私も会社の同僚にずっと前から「性別はいつわかるの?わかったら教えてね」と、ほとんどみんなから聞かれていました。 そういうわけで、エコー検査は私もアントもまわりのみんなもドキドキ。 検査はいつもの病院では予約がとれなかったので、他の病院を紹介されました。 検査をする先生は私がお腹を出している時に「性別は知りたい?」と聞いてきました。 アントが「もちろん」と答えると、先生はまず先に調べなければならない大事な部分を確認し、そのあとで 「男の子ね」とあっさり。私がとっさにモニターを見ると、たしかに、2本の足の間にそれらしいものが・・・。 そっか。男の子だったか。まぁそんな気はしてたんだけどね。 検査が無事に終わって先生がカルテを用意しているときに、思わず私は「男の子って、確かですか?」としつこく聞いてしまいましたが、 間髪入れずに「間違いないわ」と先生。そこまできっぱり言われるとは。 病院を出ると、さっそくアントがペスカーラの家族へ電話してました。 アントは男の子がほしかったので、もう大喜び。あちらの家族も大喜び。 私は、がっかりしたわけではなかったけど、女の子の洋服を選んだりかわいい部屋を作ってあげたりできなくてちょっと残念。 でもとにかく、順調に育っていることがわかって何よりでした。 3Dエコー アントの知人で産婦人科の受付で働いている女性がいることから、3度目のエコーはそのクリニックで3Dエコーをしてみることになりました。 普通のエコーは白黒の平面画像。3Dだとあたりまえですが、立体に写るわけで、赤ちゃんの顔なんかもそりゃリアルに見えるのです。 アントは2度目のエコーで見逃した赤ちゃんのpistolinoを見て、あらためて感激していました(笑) そして、赤ちゃんの顔を見ると、なんとも見事なだんごっ鼻。アントったら「patatino!!!」と笑いまくり。失礼なやつ。 アントがあんまり笑うもんだから、そのうち赤ちゃんが両手で顔を隠すようになってしまいました。 いいのよ。だんごっ鼻だろうがなんだろうが、私はかわいいと思うんだから。 いくつもの画像をCD-ROMに保存してもらいました。 まだお腹の中にいる、生まれてくる赤ちゃんの顔が見られるなんて、すごいですよね。技術の進歩に感謝感謝。 無痛分娩 いくつもの分娩スタイルの中で私がしたいと思っていたのが、無痛分娩と水中分娩。 無痛分娩は麻酔によって痛みを感じることなく出産でき、水中分娩は自然にリラックスしてお産ができるというメリットがあります。 水中分娩はアントも興味を持っていたのですが、母親学級での分娩室見学で水中分娩用のバスタブを見たときに思ったほど魅力を感じなかったこともあり、 よし、じゃあ無痛で生むぞ!ということになりました。 最後の検診のときに先生に無痛分娩を希望していることを相談すると、麻酔科の診察を受けなければならないとのこと。 もう予定日まで1週間というギリギリになって、無理矢理予約をとらせてもらい、麻酔科へ。 っていうか、もっと早く、せめて臨月になったときの検診で言うべきでした。反省。 麻酔科では今までの病歴などを詳しく問答。無痛分娩をする際の注意確認事項が書かれた紙を読んでサイン。 そして腰(背骨)を見て麻酔を打つのに問題がないかどうかをチェックして検診はおわりました。 これで無痛分娩の準備完了。なんだか、今までそんな大掛かりなことしたことないので、緊張してきました。 Monitoraggio 出産予定日から、monitoraggioという検査を毎日します。日本ではノンストレス・テストと呼ばれているものです。 私の場合、予定日からミラノは連休になるということもあり、予定日の前日からはじめることになりました。 この検査では、お腹にペタっとセンサーをつけて赤ちゃんの心拍と子宮収縮を調べます。 すぐ終わる人は30分ぐらいですむものなのですが、赤ちゃんが眠ったきりだったり動きすぎたりするとうまくいかなくて時間がかかります。 そんな私も、お腹の中で赤ちゃんが動きすぎて心拍が読み取れず、初日は1時間半、2日目は2時間かかってしまい、廊下のアントは待ちくたびれてました。 心拍と子宮収縮のようすがグラフで記録された紙を持って産科の先生に見せると、とくに問題なし。このまま毎日検査しながら様子をみましょうということになりました。 こんなふうに毎日monitoraggioのためにMelloniに通うの、面倒だなぁー。早く生まれてくれないかなぁー。と思っていると、予定日に「おしるし」が。 そしてその日の夜中、陣痛らしき痛みが始まりました。 じつはその前日にも陣痛かと思われる痛みがあったのですが、母親学級で言われたとおりバスタブにお湯をはって下半身を暖めると、痛みがおさまってしまいました。 いわゆる前駆陣痛というやつでした。 が、今回はバスタブにつかっても治まる様子がなく、痛みも定期的になってきました。いよいよお産の始まりです。 お産当日の様子は次回のエッセイにて。
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